(鉄筆)過去最低の出生率

(鉄筆)過去最低の出生率
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 厚労省が6月5日に発表した2023年の人口動態統計で、1人の女性が生涯に出産する子供の数を示す合計特殊出生率(以下「出生率」)が1.20と過去最低の数字を示した。20年以降のコロナ禍で婚姻数が減少したことも関係あるが、コロナ禍が落ち着いた今後、婚姻数や出生率が上がる保証はない。

 厚労省の発表と同日、国会では少子化対策関連法が成立した。児童手当や育児休業給付の拡充が中核だが、財源確保のために公的医療保険料に上乗せして徴収する子ども・子育て支援金制度も予定されており課題は多い。いずれにしても婚姻や出産に対する経済的不安がないよう子育て世代を対象にさまざまな制度が盛り込まれている。

 こうした出生率の低下は少子化を加速させ、やがてその影響は学校にも及ぶ。今政府は出生率といった入口の戦略に力を入れているが、少子化社会における学校教育への戦略はどう考えているのか。「個別最適な学び」と言いながら、それを指導する教員数の増員は考えていない。先日発表された財政制度等審議会は相変わらず「現状を維持し省内努力に努めよ」の大合唱である。

 少子化だからこそ子供一人一人への投資を増やし教育という営みの質を高くする戦略をとるべきである。持続可能な国づくりのために、土台となる国民一人一人の資質・能力をより高めていく必要性を否定する人間はいないだろう。

 岸田首相は子育て支援対策には熱心だが学校教育支援は関心がないとみえる。子供を育てるのは親だけではない。学校の教師の存在を忘れないでほしい。

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