(提言)「成長の見守り」

(提言)「成長の見守り」
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愛知県教育委員会教職員課担当課長 山田 洋暢

 私が新任の頃、「子供を植物に例えなさい。土を手入れし、水を丹念にやり、愛情をもって成長を見守ることによって、植物は立派に花を咲かせることができる。子供も一緒だよ」と先輩の先生から教えられました。この言葉は、今でも私の心に残っています。

 教員不足は、全国的に喫緊の課題となっています。教員を志す学生を増やすには、学校が「働きがい」と「働きやすさ」を両立する職場であることが大切です。教員採用を担当する本課としても、学校現場で活躍できる一人でも多くの教員志願者を確保するために、県内はもちろん、県外の各大学を回って教職の魅力(働きがい)や、実際の教員の勤務の状況について説明をしています。働き方改革の進捗(しんちょく)状況についても説明し、学生が抱いている不安を可能な限り払拭できればと考えています。

 今年度は、文部科学省の教員採用選考試験の早期化・複数回実施などについての方向性の提示を受け、教員採用試験を約1か月前倒しするとともに、大学3年生らに、第1次試験の受験機会を拡大します。受験者の増加が予想されますので、例年より多くの会場や試験委員などをお願いしなければならず、関係の市町村教育委員会および学校には御負担をおかけします。また、講師不足の課題に対しては、昨年度からは、教員免許保有者で教員として働いた経験がない方や、過去、学校に教員として勤務した経験をお持ちで、再び学校で働きたいという希望を持つ方らを対象に「ペーパーティーチャー相談会」を県内4か所で実施しました。教員の確保に向けて、できることは全てやるという覚悟のもと、取り組んでいます。

 どの仕事でもそうですが、最初から完璧な仕事ができる人はいないと思います。多くの教員は、失敗を繰り返しながらも、先輩や同僚、時には保護者の方や地域の方からの学びにより、力量をつけていきます。冒頭の言葉は、教員の育成にも当てはまると考えています。初めから力量が整っていなくても、子供に愛情をもち、学び続けるといった資質をもった教員を一人でも多く確保し、組織全体で丁寧に育成していくことが大切であると考えています。関係機関と連携し、子供たちのために活躍できる教員の確保と育成に向けて、今後も努めていきたいと考えています。

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