「恋しくば 尋ね来てみよ 和泉なる 信太(しのだ)の森のうらみ葛の葉」の短歌で知られる「葛の葉」なる女主人公(狐の化身)がここ海東郡篠田村(現あま市篠田)で、安倍保名(あべのやすな)の世話をした故事があり、稲荷様として祭られている。篠田という地名も大阪の信太に引っかけてある。―昔はここら一帯が葦の原であったところから生まれている(「美和町史」)―従って、本校の校章も葦の葉を台座に藤の群生を表している。また、校内には、高さ5メートル、幹の周り1・8メートルの蘇鉄(そてつ)の巨木が幾百年の星霜を数え、学校の宝として歴史を物語っている。(1982年刊行 東洋経済出版「校区の歴史散歩」による)
このシダ類南洋植物蘇鉄は職員室前に存在する。また、体育館の緞帳にも描かれている。花言葉は「雄々しい」。羽のような形の大きな葉を風になびかせ、風格ある姿で堂々とそびえ立ち、常に子どもたちを見守っている。植樹当時の方々の思いが伝わってくる。
本校の学校規模は、全校児童375人。学級数は17(各学年2学級、特別支援学級5学級)。教職員約40人である。
校訓は、「かしこく やさしく たくましく」で、「よりよく考え学ぶ子 心豊かで思いやりのある子 健康でがんばりぬく子」の育成を目指している。
教職員は、2022年度より「共育(共に育て合う)」と「響育(思いを響かせ合う)」を旗印にして、教育の目的達成に勤しんでいる。
「子どもたちの世界」を親和的で穏やかなものにしたい。この願いを達成するための具体的な手段として、23年度から本格的に「スリンプルプログラム」を導入している。「かかわりプログラムSlimple」代表の曽山和彦博士が提唱するスリムでシンプルなプログラムで、子どもたち同士が関わり合う中で育て合う活動である。ソーシャルスキルトレーニングと構成的グループエンカウンターを組み合わせ、所要時間は約10分間。約束事は「あいさつ」「うなずく」「見渡して話す」「指示を聴く」のわずか4つ。人との関わりの中で「関わりの力」を身に付けるという点で、学校の果たす役割に十分応えてくれると確信している。名称は、子どもや教職員から公募して「スマイルトーク」となった。先進校のあま市立七宝中学校「しっぴートーク」と曽山先生から直々に学んでいる。歩み始めたばかりであるが、子どもたちには笑顔が見られ、「たのしかった!」「またやりたい!」という声がたくさん出ている。教職員もプログラムや曽山先生(書籍含む)という「人」との関わりを通して、アイメッセージやハンカチ理論などの多くの学びを得ている。
今後も、「共育」と「響育」をしながら、みんなで「笑顔あふれる学校文化」を育てていきたい。
(文責・櫻井尚史校長)