教職員未配置4000人超 全教調査「教職員の多忙化深刻」

教職員未配置4000人超 全教調査「教職員の多忙化深刻」
教職員未配置の実態調査結果について語る全教の板橋中央執行委員(中央)=撮影:山田博史
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 全日本教職員組合(全教)が行った教職員未配置の実態調査で、未配置となっている教職員の数は37都道府県10政令市で4051人に上っていることが分かった。同組合が7月18日、公表した。昨年同時期にも回答のあった自治体のみで比較すると、昨年より1.35倍に増えていた。未配置となっている学校では非常勤講師などで授業の「穴」を埋めたり、他の教職員がやりくりしたりしてカバーしているが、現場の負担増は避けられず、同組合の担当者は「未配置がこれほど拡大していることに驚いた。教職員の多忙化を深刻化させている」と指摘し、早急に職場環境を改善して教職員の負担を減らすよう求めている。

 調査は全教に参加する組織を通じて、各地の教育委員会に依頼するなどして実施し、5月1日時点の数字を集約した。調査結果によると、教職員の未配置は37都道府県10政令市で4051人に上った。学校別では、小学校で1736人、中学校で1247人、高校で433人、特別支援学校で480人などとなった。定数の欠員は902人、産育休や病休などの教員の代替者が見つからない欠員は1161人に上り、代替者の欠員の数が定数の欠員を上回った。

 未配置への対応としては、「非常勤等で対応」が最も多く72.7%を占め、校内の教職員でやりくりしたり少人数授業を取り止めたりするなど「見つからないまま」が26.8%に上った。

未配置は昨年の1.35倍に 「代替者に直前で断られる」ケースも

 調査結果のうち昨年のデータと比較できる24都道府県5政令市のみに絞って比べたところ、教職員の未配置は2047人から2767人へと約1.35倍に増えていた。定年延長に伴い定年退職者が出なかった年にもかかわらず、未配置が拡大している実態が浮き彫りになった。

 現場の教員などからの具体的な記述では、授業や子どもたちへの影響としては、「担任不在のクラスがざわつき始めた」(小学校)、「安全管理に苦慮。授業は二の次」(小学校)などの声が寄せられたのをはじめ、「見つかっていた代替者に直前で断られた」(中学校)、「決まっても辞退されてしまうケースが多い」(小学校)など、過去には見られなかった学校現場が敬遠されている状況を訴える声もあった。さらに教員の負担増について、「ここのところ、心を病んで休職、退職、精神疾患が毎年続いている」(小学校)、「まだお昼ごはんを食べていないと18時ごろに話している教員がいた」(特別支援学校)などの声が寄せられた。

「学校現場は限界を迎えている」

 記者会見した全教の板橋由太朗中央執行委員は、未配置の対応で最も多かった非常勤講師によるカバーについて、「非常勤では授業の穴を埋められても授業以外の業務は他の教職員が請け負うしかなく、長時間労働に拍車を掛けている」と指摘。さらに代替者すら見つからないケースについては、「教職員の多忙化を深刻化させている。学校現場は限界を迎えている」と訴えた。

 その上で「改善するには教職員を抜本的に増やすしかないと思う。現場の努力だけで限界がきている状況に応えられないことで、教職の志望者が減って、非常勤講師の成り手が見つからない流れにつながっているのではないか」と指摘し、改めて教職員不足の解消に向けて、現場の負担軽減に向けた職場環境や待遇の改善、少人数学級の段階的実現に向けた教職員の確保を求めた。

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