(鉄筆)コミュニケーションの在り方

(鉄筆)コミュニケーションの在り方
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 先日、歩道を歩いていたら若い男性が突然後方から現れ追い抜いて行った。そこは人が2人並んで歩くのも厳しい狭さである。気配も全く感じなかったのでただ驚くばかりであった。ちなみに彼の耳にはスマホに連動するワイヤレスイヤホンが装着されていた。似たような経験をされた方は少なくないだろう。

 コロナ禍以降の社会で人間同士のコミュニケーションの在り方が大きく変わっていることが多方面から指摘されている。特に若い世代との接し方がそれまでのものとは明らかに異質になっている。

 ある民間会社の調査によると、コロナ禍後の自分自身のコミュニケーション力が悪化したと考える10代の若者が増えているという。その理由も「自信がない」「やり方が分からない」というのだから驚く。10代のうち女性にその傾向が強い。さらにこの年代は衰えたコミュニケーション力として「雑談・会話力」を第1位に挙げている。

 これらの結果は、コロナ禍によって対面する機会が少なくなったことで人との対話を避ける傾向が若者を中心として広がっていることを物語っている。懸念すべきは自己肯定感の喪失まで招いていることだ。全てコロナのせいにするのは早計だろう。冒頭の男性のようにスマホやSNSによる最近の人間関係の構築方法の変化が関係しているのも事実だ。

 誰にも見とられずに1人暮らしの自宅で亡くなる孤独死の若者が増えているとの報告も合わせると、社会全体で今後の社会におけるコミュニティー(共同体)の在り方を議論する時期に来ているのではないか。

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