「今頃になって、ようやく出たか」。これが正直な気持ちだ。文科省・スポーツ庁が7月10日に各都道府県教委などに発出した「学校における働き方改革に配慮した学校プールの管理の在り方について(依頼)」である。
今年度も教員が学校のプールへの注水を止めることを失念して溢水(いっすい)が続き、校長や当該教員が水道料金を賠償する事案が複数発生している。それを受けて出された通知である。
昨年度も同様の事故が起きており、昨年10月の小欄ではプールのろ過装置の操作、浄水管理などは教員の業務であるか検討が必要なことを示した。プールへの注水業務は、場合によっては時間外の勤務となり、担当教員の犠牲の上に成り立っており、持続可能な業務ではない。「うちの自治体は大丈夫だろう」「うちの学校では起きないだろう」と何ら対策を講じなかった関係者は、その怠慢を猛省すべきだ。
通知には、指定管理者制度の活用や民間業者への委託についても触れられている。プールの管理についての記述であるが、近年、地域のスイミングクラブなどに委託して水泳指導を行う自治体や学校がある。これにはさまざまな理由があるようだが、ゆめゆめ指導を外部の企業や団体に丸投げしてはならない。英語教育やプログラミング教育ではそのような話を耳にする。
指導方法や指導技術は外部の企業・団体が持っているとしても、指導の主体は教師であり学校である。企業・団体のノウハウをいかに使い、子供にとってよい教育が行われるように考えることが求められる。