教職調整額を4%から13%に引き上げる方針 文科省が処遇改善案

教職調整額を4%から13%に引き上げる方針 文科省が処遇改善案
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 文部科学省は公立学校教員の処遇改善に向けて、基本給に加えて一律に支給している「教職調整額」について、現行の「基本給の4%」から「同13%」に引き上げる方針を、8月22日までに固めた。来年度予算の概算要求に関連経費を盛り込むとともに、増額に必要な教員給与特別措置法(給特法)の改正案を来年の通常国会に提出する方針。法改正によって「残業代の上乗せではなくベースアップと位置付けられる」(同省幹部)としており、処遇改善による教員の確保を目指す。

 教員不足が全国的に深刻化する中、中教審の「質の高い教師の確保特別部会」が取りまとめた「審議のまとめ」では、教員の処遇改善策として、教職調整額を現行の4%から「少なくとも10%以上」として、人材確保法により一般行政職と比べて約7%の優遇分が確保された1980年の水準にすることを提言していた。

 これを踏まえて政府が6月に閣議決定した「経済財政運営と改革の基本方針2024」(骨太の方針)では、「教職調整額の水準を少なくとも10%以上に引き上げることが必要などとした中教審提言を踏まえる」との文言とともに、「2025年通常国会へ給特法改正案を提出するなど、教師の処遇を抜本的に改善する」と踏み込んだ表現が盛り込まれていた。

 同省はこうした流れを踏まえて処遇改善案をまとめ、「教職調整額」について、基本給の4%から13%に引き上げる方針を盛り込んだ。13%とした根拠について、一般公務員と比較した教員の時間外労働時間の長さなども考慮したとしている。

 盛山正仁文科相は今年5月の会見で、国が3分の1を負担している義務教育費国庫負担金における教職調整額の予算額は現状では約480億円で、10%になった場合の追加額は約720億円と見込まれると述べていた。13%となった場合、単純計算すれば国費全体で約1500億円に上るとみられる。

 同省は関連経費を概算要求に盛り込み、来年の通常国会に給特法改正案を提出して26年からの増額を目指す方針だが、財源確保に向けた財務省との調整には難航も予想される。

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