全国学力・学習状況調査の結果が公表された。学力面においては記述式問題に関する正答率の低さに、生活面においてはSNSやゲームなどの視聴時間が多い子供で学力が低いという結果に着目した。
低い学力傾向にある学校に校長として赴任した時の話である。学力調査結果で数学の文章題の無回答の多さから読解力に課題があると判断、その後あらゆる機会で朝の読書など子供に活字に触れる機会を増やした。その結果、同調査での正答率は年々上昇し学習意欲も向上した。同時にゲームやメールの過剰な視聴時間と睡眠不足を解決するため「早寝早起き運動」と食育を展開した。そのことも先の学力向上に有効に働いた。
歴史は繰り返すようだ。コロナ禍以降の社会変化で再びSNS普及によるものと思われる活字離れや睡眠不足が子供たちを襲っている。SNSはもはや子供にとって生活の一部となっており、大人が目を光らせない限り生活面や学習面に悪影響を及ぼす。
全国学力調査は27年以降CBT化するという。1人1台端末が整備されて約3年。各学校に配備された端末などICT機器のメンテナンスに対する自治体格差が指摘され、調査本番では機器の不備によるトラブル発生は不可避という声も多い。
子供たちの学力や生活を第一に考えるならば、国が今やらねばならないことは、活字離れとSNSなどによる過剰な視聴時間の防止、授業における思考力育成のための効果的なICT活用法の普及・啓発、学校現場のICT環境の公平な整備とメンテナンスだと思うが。