(鉄筆)夏休みの思い出

(鉄筆)夏休みの思い出
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 夏休みが終わった後、休み時間に子どもたちが休み中の楽しかった思い出を話している姿を見掛けた方もいるだろう。

 注意深くその様子を見ると、話の輪に入らない子や、輪に入っていても友人の話を聞くだけで自分の話をしない子どももいることに気付く。さまざまな理由があるが、一つに家庭の経済的な状況がある。昨年7月に出された公益社団法人チャンス・フォー・チルドレンの調査では、世帯年収300万円未満の家庭の子どもの3人に1人が1年を通じて学校外の体験活動を何もしていないことが示されている。

 文部科学省の「21世紀出生児縦断調査」を再分析した結果、小学生の頃の自然体験などの体験活動は、高校生の時に自尊感情や精神的な回復力が高くなる傾向を示している。

 経済的に厳しい子どもの体験活動への参加が低い原因の一つとして、保護者がその機会を知らないことが挙げられる。独立行政法人「国立青少年教育振興機構」の「青少年の体験活動等に関する意識調査(2022年度調査)」では、小学生が公的機関・民間団体の自然体験への参加率は19年から減少し36・7%になっている。原因として保護者が「団体や行事があることを知らない」ことを挙げている。

 子どもが家庭の経済的状況に関係なく、健やかに育つことが望まれる。コロナ禍のために「子ども会」などの行事も縮小・廃止され、体験活動の機会も減ってきている。公的機関による体験活動の事業について、どの家庭にも確実に伝わるようにし、子どもの参加の機会を確保することが求められる。

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