【先輩からのとっておきアドバイス】 漠然とした不安

【先輩からのとっておきアドバイス】 漠然とした不安
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Q 何もかもが初めてのことで、これからのことがとても不安です。心の整理がつかず、頭の中がごちゃごちゃで何を優先して仕事をしていいのかも分かりません。「うまくいかないかも」「失敗したらどうしよう」という漠然とした不安ばかりが浮かんでしまいます。どうしたらこのような気持ちを整理できるでしょうか。 (女性、教師歴1年)

 

A 子供の成長を間近で感じられる教師という職業に魅力を感じ、夢や希望を持って教職に就かれたことでしょう。しかし、そういった喜びを味わうことができる半面、子供と直接関わる業務だけでなく、事務処理や各種研修などもあり、目まぐるしい毎日をお過ごしとお察しします。

 私にも、見通しを持った取り組みができなかったために何から手を付けてよいのか分からず、不安になった経験があります。そんなとき、私はどのようにして乗り越えてきたのか、私の心の支えとなった言葉とともに紹介します。

 私は、業務内容を次のように「一覧表」にまとめました。まず業務を付箋に書き込むのですが、この時、子供に関することは赤、研修に関することは青など、種別ごとの色を決めます。そして、すぐに取りかかるべき内容か、時間をかけてもよいのかを判断して順位付けし、上から貼り付けます。

 こうすることで、一目で業務を把握できるとともに、どういった順序で済ませていけばよいか見通しが持て、一つずつ確かめながら取り組むことができるようになります。そもそもストレスというのは、多くの仕事があるから感じるのではなく、何をどのようにやっていいのか明確でない時に強く感じるものです。自作の一覧表のおかげで、精神的にも随分と楽になりました。

 また、「仲間の助け」を借りることもよいでしょう。同僚や同期に素直に悩みを打ち明け、共に知恵を絞りながら取り組めば光が見えてくることがあります。

 また、先輩方の仕事ぶりを拝見したり、アドバイスを受けたりして学ぶことも大切です。先輩方は、効率よく仕事をこなすコツをつかんでいます。それは、経験を積んでいるからです。経験は失敗の積み重ねとも言われます。子供の命や人生に関わるような失敗はいけませんが、先輩の姿を参考にして失敗を恐れず挑戦することで、あなたも経験という財産を得られます。

 次に、私が心の支えにしてきた言葉を2つ紹介します。

 1つ目は、『若いときの苦労は買ってでもせよ』ということわざです。これは、慣れない仕事にへとへとになっている私を励ましてくれた祖母からの言葉です。この言葉を聞いてからは、今の苦労は、必ず将来役に立つ時が来ると信じて取り組みました。今振り返ってみると、若い頃の経験が、今の私の考え方や生き方につながり、私の教員人生を支えてくれているのだと実感しています。

 2つ目は、『向き・不向きより、前向き』という言葉です。これは、私が尊敬する先輩から教えていただいた言葉です。教師という職業は、時には苦手としている分野や、荷が重いと思われる仕事を担当しなければならないこともあります。けれども、そのような状況を「よい経験ができている」と前向きに捉え、あれこれ悩むのではなく、前へ進むことが大切であると説いています。とにかく一歩前へ出ることで、新たな自分に出会い、新たにやりがいを見つけられるとともに、必ず周りがあなたを応援してくれるようになります。

 最後に一言。頑張り過ぎは、我慢するのと同じで、ネガティブな思考につながりやすいものです。時には、頑張ることも必要ですが、自分の能力を高く見せたいとか、実力以上の結果を求めることなく、楽しみながら取り組んだ方が、ポジティブにもなれ、満足感も得られます。多くの業務を抱えてつらい時期もあるかと思いますが、子供たちの笑顔を思い浮かべながら、先生自身が笑顔で教育活動にまい進してください。先生のご活躍を心から応援しています。

 (淺井貞人・岡崎市立上地小学校長)

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