昨年度まで本校では「自ら学ぶ児童」の育成を目指し、協働的な学習活動を取り入れて、実践に取り組んできた。
友達と交流しながら自分と異なる考え方に触れ、自分の意見を再考したり、適切な情報を獲得・活用しながら自ら学習に取り組んだりして、友達の良さや自分との違いに気付きながら「自ら学ぶ」態度を培ってきた。
一方、本校の児童は、体力運動能力調査の結果も全国平均と比較して芳しくなく、また健康・運動に対する意識も低い。
そこで、今年度は、昨年度までに培った「自ら学ぶ」態度を土台として、体育科の学習において「やってみたい」からスタートし、「やればできる」ことを実感できるようにする。この実践を通して、主体性や自己肯定感などの「非認知能力」を育み、他教科においても主体的に自ら学ぶ姿につなげられると考え、体育科の授業づくりに取り組んでいる。
「子ども中心の学び」は、「夢中で探求する(主体的な学び)」「自分に合ったペースや方法で学ぶ(個別最適な学び)」「多様な人と学び合う(協働的な学び)」の一体的な充実が図られることで実現できると考える。
そこで、今年度は体育科で「夢中で探求する(主体的に学ぶ)」ことを重視して実践に取り組むこととした。
子どもたちの「やってみたい!」「学習(運動)って楽しいな!」という気持ちを育てることを第1ステップと捉え、さまざまなことに進んで挑戦したり、夢中で何かに取り組んだりする姿を増やすことを目指した。
1年生では的あてゲームを行った。的にボールを当てるだけでなく、ボールの勢いで的を移動させるというルールを設定した。的の形やルールを工夫することで、子どもの意欲を高め、思考を巡らせて学習に取り組めるようにした。子どもたちは失敗と成功を繰り返しながら得点を重ね、ゲームを楽しむことができた。
ただの「的あて」ではなく、的をエリアから出すルールとしたため、ボールの勢いや当てる角度も大切になるので、戦略も必要となり、1年生なりによく考えながらボールを転がしていた。
4年生は「かんたんバスケットボール」を行った。普段の体育的活動では、得意・不得意で活動への意欲が明確に分かれてしまう傾向があった。そこで、誰もが活躍できるようにするにはどうしたらよいかを考え「学級ルール」(ボードに当たったら1点、リングに当たったら2点、シュートが入ったら3点など)を考案した。これにより誰もが「やってみたい」という気持ちになり、多くの意欲的な活動につながった。
実践を通して、「やってみたい、やってみよう」「これだったら自分にもできる」など、運動に親しみ、夢中で取り組む子どもたちの前向きな姿が随所に見られ、自己肯定感の育ちを感じることができた。
今後は自分に合ったペースや方法で学んだり、多様な人と学び合うことを取り入れたりして、学びを「自分事」と捉え、より主体的に自ら学ぶ子どもを育てていきたい。
(文責・鈴木兼雄校長)