(鉄筆)パリ・パラリンピック

(鉄筆)パリ・パラリンピック
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 パリ・パラリンピックはさまざまな面で進化しているという評価を得て幕を閉じた。日本代表選手団の田口亜希団長は「自身の限界に挑み、パラアスリートの無限の可能性を体現した」と日本選手の活躍を評価した。

 活躍の陰には計画的なトレーニングや対戦相手の綿密な分析があった。バリアフリー化されたナショナルトレーニングセンターでの長期合宿。専門家の指導で筋力トレーニングや食事などができる環境を得て男子ゴールボールは初の金メダルを獲得。車いすテニスではスタッフが対戦相手を1プレーごとに映像で分析し、個々の選手に合った戦術を練るなどをして今大会に臨み、金3銀1を収めた。

 高いレベルでしのぎを削る時代になり、一層の支援が必要になる。大会には168カ国・地域と難民選手団が参加したが、途上国のメダル獲得は少ない。IPC(国際パラリンピック委員会)は世界保健機関などと連携し、競技用具の普及支援や選手育成などで後押しするという。

 わが国ではどうか。一般の体育施設ではパラスポーツ向けの貸出を拒否する例も少なくない。障害者スポーツ25競技団体のうち20団体が「活動資金が不足している」という。東京大会の盛り上がりで理解が深まったはずだったが。

 東京大会の時には多くの学校がパラアスリートとの交流を行った。その後、つなげている学校も多くある。文科省は来年度からオリパラへの出場経験のある選手を教員に登用し授業や部活動指導などに生かす方針を出した。子供時代から裾野を広げさらなる理解と発展を期待したい。

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