(鉄筆)メンタル

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 2023年度の問題行動・不登校調査の結果が発表され、いじめなど主要項目において過去最多の数値が示された。これらの原因については簡単に語れないが、現代人の多くにみられるメンタルの弱さが影響していると考えることもできる。いまメンタルに強い人間を育てるためのプログラムを学校だけでなく社会全体で真剣に考えていかなければならない時期に来ている。

 産業医の武神健之氏によれば、メンタルが強い人間は非認知能力が高い傾向にあるという。非認知能力とは、記憶力や知識のような認知能力とは違い、勤勉性、協調性、自己肯定感、想像力、自主性、忍耐力など数値では表せない能力だ。

 武神氏は家庭での本の読み聞かせや遊びの奨励、そしてそれらの行為を褒めること、失敗したら励ますことなど未就学期における親や周囲の大人の行動こそ非認知能力が将来大きく育つ誘因と主張する。

 実は文科省は現行の幼稚園教育要領や学習指導要領で非認知能力の育成をすでに掲げている。「育成すべき資質・能力」の3本柱のうちの「思考力・判断力・表現力等」と「学びに向かう力・人間性」である。実際の学校現場で十分具現化されていないのはなぜか。その原因が幼児教育では家庭での低い認知度であり学校教育では知識重視の風潮と形成的評価の軽視にあるのではないか。

 次期学習指導要領では形成的評価を中心とした評価活動の活性化を最重点課題として協議を深めてもらいたい。同時に家庭や社会に対しても非認知能力育成の啓発活動を大いに奨励してもらいたい。

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