(鉄筆)文科省と財務省

(鉄筆)文科省と財務省
【協賛企画】
広 告

 文部科学省は、教職調整額の4%から13%への引き上げを求めている。また、教員の職務などの特殊性を踏まえると、時間外勤務手当制度にはなじまないとしている。

 11月18日付の本紙でも取り上げていたのが、財務省の財政制度等審議会財政制度分科会の議論である。11月11日の議事要旨を見ると、「まずは働き方改革をやり、残業時間を減らしながら教職調整額を引き上げて、10%に達したら残業代に移行するというのは素晴らしいアイデアだと思う」などの発言がある。

 「給与を上げても業務が減らなければ教員の不満は解消せず、『なり手不足』の問題も改善されないのではないか。業務の縮減は、自主的な取組に任せてもなかなか進みにくく、まして給与が先に上がってしまえば、業務を縮減するインセンティブが働かなくなるのでないか」「教員不足については、いわゆる『3分類』の徹底により業務の大規模なタスクシフトが必要」などの発言も目を引く。

 文科省と財務省の対立は、どちらかに決められるものではない。確かなのは、多くの教員が授業時数の軽減や授業準備、生徒指導に充てる時間の確保、多様化する児童生徒や保護者対応の負担軽減などを求めているということである。

 さまざまな改革は行われているが、学校で負担感が軽減されたという話は聞かない。管理職や教職員が変化を実感できない限り、文科省と財務省がどれだけ議論をしたとしても、働き方改革は実現しないし、教員志望者の増加も望めない。「学校に始まり学校に帰る」の根本を忘れてはならない。

広 告
広 告