教職員未配置が4739人 全教調査「現場で打つ手ない状態」

教職員未配置が4739人 全教調査「現場で打つ手ない状態」
教職員未配置の実態調査結果を公表する全教の板橋中央執行委員=撮影:山田博史
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 全日本教職員組合(全教)は1月9日、全国で実施した教職員未配置に関する実態調査(昨年10月1日時点)の結果、34都道府県11政令市で少なくとも4739人の教職員が未配置となっていると明らかにした。比較可能な自治体に絞って昨年5月時点のデータと比べると、5カ月間で未配置が1.38倍に増えていた。現場からは「学習の進度がむちゃくちゃになっている」(中学校)、「ドミノ式に病休者が出てくる」(高校)など厳しい声が寄せられており、同組合は「これまでも非常に厳しい実態を訴えてきたが、現場では打つ手がない状態だ」と指摘、教職員を増やすことによる業務削減など抜本的な改善策を求めている。

未配置への対応 「見つからないまま」が39.3%

 同調査は、全教が参加組織を通じて各地の教育委員会に依頼するなどして昨年10月1日時点の教職員未配置の状況を集約した。調査結果によると、34都道府県11政令市で教職員の未配置は少なくとも4739人に上り、学校別では、小学校2248人、中学校1304人、高校385人、特別支援学校512人などとなった。

教職員未配置は少なくとも4739人に

 このうち定数の欠員は877人で未配置全体の約19%、産育休や病休などの教員の代替者が見つからない欠員は2061人と最も多く、全体の約44%に上った。未配置に対する対応としては、「非常勤等で対応」が59.2%、「見つからないまま」が39.3%で、校内の教職員でやりくりしている学校現場も多いことが伺えた。

 全教は昨年5月1日時点の全国の未配置状況も調査しており、今回の調査にも回答した30都道府県8政令市に絞って5カ月間の変化も分析した。その結果、教職員全体の未配置は2947人から約1.38倍に増えて4076人に上っていることが分かった。

教職員未配置は5カ月間で1.38倍に

 学校別では、小学校で約1.37倍、中学校で約1.35倍、特別支援学校で約1.36倍に増え、高校では約0.98倍とほぼ横ばいだった。特に産育休に伴う未配置(約1.86倍)や病休に伴う未配置(約2.22倍)で増加が目立った。一方、8自治体では未配置の総数が減っていた。

「ドミノ式に病休者が出る」など現場から厳しい声

 同調査では、学校現場の実態や教職員の様子などについてアンケートも実施した。「子どもが落ち着かず、未配置が原因で新たな荒れに発展していく」(小学校)と子どもたちが不安定になっていることや、「産休に入る美術担任の代替が見つからず、カットする授業があり、学習の進度などがむちゃくちゃになっている」(中学校)と授業への影響を指摘する声があった。

 また、「担任外の教職員が常に穴埋めに授業に入り、学校全体での残業も大幅に増えている」(特別支援学校)、「未配置の学校ではドミノ式に病休者が出てくる状態」(高校)、「非常勤が多く、部活動や担任を持てず、常勤職員の負担が大きい」(高校)など現場の負担増を訴える声が多く寄せられた。

 今回の調査結果について、記者会見した同組合の板橋由太朗中央執行委員は「これまでも厳しい実態を訴えてきたが、現場では打つ手がない状況の表れだ。まだ年度後半を残している状態であり、未配置のさらなる増加や教職員を取り巻く環境の悪化が懸念される」と強調した。その上で、「教職員を増やし少人数学級化を図ることで、一人当たりの業務量削減こそ行うべきだ」と述べ、抜本的な改善策が必要だと訴えた。

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