学校教育の場で男女の地位は平等になっていると思う国民は7割を超え、約2年間でやや増加したことが2月4日、内閣府の行った男女共同参画社会に関する世論調査で明らかとなった。男性の方が優遇されていると答えた割合も、有意に減少していた。
調査は昨年9月26日~11月3日に、18歳以上の日本国籍を持つ5000人に質問紙を郵送し、郵送やインターネットで回答を得た。有効回答は2673人。男女共同参画社会に関する世論調査としては11回目で、前回は2022年11月に実施している。
学校教育の場で、男女の地位は平等になっていると思うか、という問いに、「平等」と答えたのは70.4%で、前回よりも2.3ポイント増加した。「男性の方が優遇されている」と答えたのは21.9%で、前回と比べ2.6ポイント減少。有意差が認められた(=グラフ)。
年代別で見ると、18~29歳が、最も「平等」と答えた割合が高く、「男性の方が優遇されている」と答えた割合が低かった。
自治会やPTAなどの地域活動の場では、「平等」と答えた割合は40.3%で、前回調査の40.2%からほぼ横ばいだった。
今回の調査では初めて、例えば、大学の理学部・工学部に進学する女性は男性より少ない、薬学部・看護学部に進学する男性は女性より少ないという現状があると紹介した上で、進路選択に影響を与える人物やメディア、体験などについて複数回答で尋ねた。
その結果、最も多かったのは母親で63.0%、次いで父親(59.3%)、友人や先輩(40.7%)、学校の先生(39.8%)、インターネットやSNS(34.2%)が上位となり、身近な人が進路選択に影響を与えている可能性が高いことが伺える。
内閣府男女共同参画局の担当者は「理工系に進む女性や女性研究者が少ない現状がある中で、進路選択の際に、『女性は数学が苦手』『研究職には向いていない』などの固定観念があるのではないかと言われてきた。実際に進路選択の影響で、どのようなことが言えるかを調べた。設問が限られるため、ジェンダーの影響があるかまでは分からないが、母親や父親からの影響が高いが、男女差があり、女性の方が母親から影響を受けている割合が高い」と説明している。
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ジェンダーギャップ 教育を含め、男女の違いによって生じるさまざまな格差。スイスの非営利団体「世界経済フォーラム」が2024年6月12日に公表したジェンダーギャップ指数によると、日本は146カ国中118位だった。
PTA 保護者(Parent)と教職員(Teacher)で構成された任意の社会教育団体で、学校ごとに設置されていることが多い。近年、PTAを廃止するケースや大幅に活動内容を見直す動きもみられる。