文科相は昨年12月、中教審に「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」を諮問し審議が始まった。「教育課程の基準」とは学習指導要領であり、国の教育水準を維持しつつ、教育内容の適正、公正中立を図り、教育の機会均等を保障するなど重要な役割を担う。
次の教育課程は2030年代の教育の内容や方向を示すものであり、学校や教師にとって最重要課題である。「答申が出るのを待って」「新学習指導要領が告示されてから取り組めばよい」などと受け身であってはならない。
他にもデジタル教科書を正式な教科書に位置付け、紙とデジタルの選択制の導入が検討されるなど、関連した審議も進んでいる。わが国の教育の行方を定める重要事項であり、審議の内容や経過に教育の専門職として関心を持ち、内容などを吟味し、時に意見を発していくことが必要である。今後の見通しをもって取り組みたい。
先例に倣えば2025~26年に審議が行われ、中間まとめを経て、26年度末に答申が出され、追って新学習指導要領が改訂され告示される。27~29年に新学習指導要領に基づく教育課程への移行措置を経て、30年に小学校から順次全面実施となる。速やかに確実に実施できるよう展望と計画、見通しを持って研修や準備、新教育課程の編成を行う必要がある。
2040年代に生きる子供たちの教育をよりよいものにする取り組みはもう始まっている。10年に1度、学校・教師の力量、校長のリーダーシップの発揮が試され問われる時でもある。