(鉄筆)防災教育

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 本紙が先般、東京都荒川区の中学校における防災教育を紹介していた(本紙1月16日)。同区の防災教育の特徴は、各中学校に「防災部」を設置し生徒が部活動の一環として活動する点だ。

 活動も本格的で、単なる生徒だけの活動にとどまらず地域はもちろん、教委や区の関係部署、消防署などとも連携し各校独自の取り組みを展開している。

 この記事以外にも被災地とも交流し2022年には東日本大震災で被災した岩手県釜石市を同区の各中学校防災部の生徒が訪れ現地の人たちから被災体験を聞くなど交流を図っている。昨年は生徒の意識調査結果を生徒自身が分析し発表したという。分析には東京大学の開沼博准教授がアドバイスしている。

 こうした活動は東日本大震災以降全国の中学校で盛んに行われている。筆者もかつて勤務していた東京下町の中学校で、区の防災センターや消防署、町会・自治会と連携し学校を会場とした地域合同防災訓練を実施したことがある。一人暮らしのお年寄りを生徒が車椅子で自宅から学校まで搬送したり、校庭で消火ホースを使って消火活動、炊き出し、簡易トイレの設置などの訓練をしたりなどまさに日常生活とは違う体験で防災への意識喚起だけでなく地域の一員としての自覚も育った。

 荒川区の取り組みの素晴らしい点は、生徒自身が体験を分析するといった探究活動にウエートを置いている点だ。かつて学習指導要領では体験活動の充実を叫んでいたが、これからの学校教育で大切なことは体験を探究するといった「深い学び」に転化することであろう。

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