先月、ある自治体の中学校7校の3年生の年間の総授業時数が不足することが判明した。
中学3年生は、1単位時間を50分として年間総授業時数を1015時間とすることが学校教育法施行規則で定められているが、1単位時間は学習指導要領総則で「各学校において、各教科等の年間授業時数を確保しつつ、生徒の発達の段階及び各教科等や学習活動の特質を考慮して適切に定めること」となっている。当該校はこれに基づき1単位時間45分で授業を行ってきたが、3年生は卒業式が早いため他学年より授業日数が短く授業時数が不足することが見込まれた。
報道によると教委は外部からの指摘でこの件について知ったという。事実であれば、指摘がなければ当該自治体の1割を超える中学校の3年生が、授業時数不足のまま卒業していたことになる。
学習指導要領改訂の諮問がなされ、学校の裁量による柔軟な教育課程がキーワードの一つになっている。「学校の裁量」には学校の自律性と責任が伴う。前年度末に教育課程届を提出した際の授業日数と授業時数のチェック、教育課程届に基づいて作成された各教科などの指導計画の授業時数のチェック、月ごと、学期ごとの授業実施時数と残りの授業時数のチェック、一人一人の教員による週案作成時の実施授業時数と残りの授業内容と時数のチェックなど授業時数不足を防ぐ関門はいくつもあったはずだ。
当該自治体に限らず、全ての学校で子どもの学びを保障するためにチェック体制を機能させ授業時数は確実に確保していかなければならない。