(鉄筆)時間的な余裕

(鉄筆)時間的な余裕
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 現在、多くの自動車がオートマになり、「クラッチを切る」という言葉は死語である。マニュアルで発進する際エンジンの動きをいきなりタイヤにつなげると負荷が大きくエンジンが止まってしまう。「半クラッチ」で徐々にエンジンの動力を伝えていくとスムーズに動き出す。

 エンジンの動きを伝える「間合い」が大切なのである。広辞苑で「間合い」を調べると「何かをするのに適当な距離や時期。あいだ。ころあい」とある。

 今年度、ある教委では春季休業日を例年より1日長くし新年度に向けて十分準備できるようにした。さらに同日に行っていた始業式と入学式を、小学校では始業式の2日後に入学式を行うように変更。始業式も入学式も子どもたちと教師の新たな出会いの場である。新年度の初日を大切にしてほしいという思いからこの日程にしたという。

 昨年度までは始業式後、教師たちは慌ただしく子どもたちを下校させ、小走りで分担の持ち場に向かい入学式の準備をしていた。今年度はそのような光景はなくなり、落ち着いて子どもたちと向き合えたのではないだろうか。

 時間的な余裕は心のゆとりを生み出す。新年度の慌ただしい時期だからこそ、教師が子どもたちとの間合いを十分に取ることができる時間を保障することが大切である。昨年末、学習指導要領改訂に関わる中教審への諮問においても「教師に『余白』を生み、教育の質の向上に資する可能性」について言及している。年度初めに限らず、1年を通して教師がゆとりを持って教育活動にいそしめる取り組みが求められる。

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