(鉄筆)裁量的な時間

(鉄筆)裁量的な時間
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 3月末に開催された次期学習指導要領の方向性を議論している中教審の教育課程企画特別部会で、文科省は授業時数の中に「裁量的な時間」を設けられるようにする提案をした。

 年間の総授業時数を維持しつつ教科によって標準授業時数を下回ることを可能とし、そこで生み出した「調整授業時数」は他の教科に上乗せしたり学校で必要な教科を開設したりすることを想定している。さらに「裁量的な時間」を設けて、児童生徒の個性や特性、実態に応じた学習支援を行ったり、教員研修や学校で取り組む研究に使ったりすることもできるようにする。

 これまでも、各学校では児童生徒や地域の実態などを踏まえながら独自に教育課程を編成してきた。ここでさらに学校の裁量を広げ、柔軟な教育課程の編成が可能になるのは望ましいことだ。

 ただ、「裁量的な時間」の時間数、標準授業時数を下回る教科の決定方法、具体的な時間の使い方など、学校によりばらつきが生じることが考えられる。多様性を包摂し、個々の子どもたちの可能性を開花させられるような教育課程を各学校が編成できるようにしなければならない。かなり具体的な説明や例示、準備期間がないと学校は対応に苦慮する。

 「ゆとり教育」後のような、逆コースをたどることはあってはならないし、「理念や趣旨の浸透は道半ば」といわれる現行学習指導要領の課題を洗い出し解決策を明確にして、それをベースにした次期学習指導要領の議論でなければならない。合わせて、学校の状況を十分に考慮するのも忘れてはならない。

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