理想の居場所は「何時に行ってもいい」「いるだけでいい」「ゆっくり休めるスペースがある」――。鹿児島県はこのほど、学校を長期欠席している県内の小中高生らを対象にしたアンケート結果を公表した。「学校に行けなくなった時、どんな所なら行きたいと思ったか」を尋ねたところ、遅刻や早退ができたり、休むスペースが確保されていたりなど、時間や空間の取り決めが柔軟な場所を求める声が多かった。こういった回答は、児童生徒の年齢が上がるほど増加する傾向が見られた。県がこのような調査をするのは初めて。
調査は昨年12月から今年2月にかけて郵送またはWEB経由で、長期欠席者やその保護者などの実態を把握するために実施した。昨年4~10月の欠席日数が30日以上の児童生徒555人と、保護者676人から回答を得た。
まず、児童生徒に対して学校に行けなくなったきっかけを尋ねたところ(選択式・複数回答)、「学校に行こうとすると不安が強くなった(ドキドキして行けなかった)」が55.4%と半数を超え、最多となった。さらに▽からだがきつかった(頭が痛い、おなかが痛いなど、45.2%)▽先生や学校の人がいやだった(こわいな、会いたくないななど、44.4%)▽起きようとしても起きられなかった(44.3%)▽気持ちが落ち込んだり、イライラしたりした(40.1%)――もそれぞれ4割を超えた。
続いて、学校に行けなくなった時に行きたいと思った場所の特徴について選択式で尋ねた。その結果▽何時に行ってもいい(遅刻、早退をしてもいい)▽何もしなくていい(いるだけでいい)▽ゆっくり休めるスペースがある▽一人きりになれるスペースがある――など、時間や空間の取り決めが柔軟な場所をあげる回答が全体を通して多かった。また児童生徒の年齢が上がるほどこれらの回答が増える傾向が見られた=図表。一方で「好きなベースで勉強できる」との回答も小中高ともに1割以上あった。
さらに保護者に対して、フリースクールなど学校以外の相談・支援機関の利用経験を聞いたところ、約2割は利用経験がないと回答した。自由記述でその理由を尋ねたところ、情報がなかなか得られないことや、相談したとしても具体的な支援や解決に結びつかない物足りなさをあげる声が目立った。一方で、「離島でコミュニティーが小さいため情報が漏れることが心配だった」「地元の人には相談したくない」などと、地方特有の原因を指摘する意見もあった。