自治体の学校施設整備に支障 交付金予算減少で緊急要望

自治体の学校施設整備に支障 交付金予算減少で緊急要望
iStock.com/Vudhikul Ocharoen
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 自治体による公立学校の施設整備で活用される国の「学校施設環境改善交付金事業」について、全国都道府県教育長協議会・全国都道府県教育委員協議会は5月27日、自治体の計画事業の多くが採択保留となっているのは遺憾だとする緊急要望を文部科学省に出した。同事業の予算が今年度は前年度と比べ大きく減少したことが要因で、緊急要望では早期に必要な財源を確保するよう求めている。

 同事業は学校施設の老朽化対策や防災機能の強化などを対象としているが、2024年度当初予算で同事業は177億円が計上されていたのに対し、25年度当初予算では62億円と大幅に減少。緊急要望によると、空調設備整備臨時特例交付金を除いた予算額は前年度より減少し、実態として今年4月時点での同事業の内定状況は、最優先事業として位置付けられている耐震化や防災機能の強化を含め、自治体の計画事業の多くが採択保留となっているという。

 緊急要望ではこれらの事業の中には、学校の教育活動に影響が出ないように夏休み中に工事を予定していたものもあり、採択保留によって今年度の実施見送りを余儀なくされるなどの支障が生じていると指摘。文科省から事前に十分な説明もなく、多くの事業が採択保留となったのは遺憾であり、今後、各自治体が安心して施設整備に取り組めなくなることに懸念を表明した。

 その上で、今年度に自治体が計画している事業が円滑に実施できるよう、保留となっている事業への追加採択を早急に行うとともに、今年度補正予算などで必要な財源を早期に確保することを求めている。

 また、来年度以降も自治体が計画事業を確実に実施できるように、当初予算を十分に確保するなどの取り組みを行うべきだとした。

 協議会の担当者は「状況説明の機会は前もってほしかった。市町村立小中学校の学校整備に使う補助金で、自治体の財政状況を踏まえると、これがないと単独では計画通りに進まない」と話す。

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