(鉄筆)自己都合退職者

(鉄筆)自己都合退職者
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 東京都教委は先月、昨年度採用した公立学校の4237人の条件付採用教員のうち、正式採用にならなかった教員が240人いたと発表。全体の5・7%で過去最高という。年度途中の自己都合退職者が217人、正式採用「否」の者が22人、懲戒免職が1人だった。

 着任した年度に、自らの指導力、他の教職員との人間関係、子どもや保護者の対応などで思い悩み苦しむことはあって当然である。職を辞すことや転職を考えながら日々職務に当たっていた教員、その教員に指導を受けていた子どもたちがいたことを考えると心が痛む。

 20年ほど前、採用枠が少なく何年も試験を受け続けやっと合格する者も少なくない時期もあった。着任時に涙を流していた教員もいた。現在は、受験者が減少し倍率が低下、選考方法も簡素化されてきている。教員志望者の教育への情熱や意欲、能力や適性が低下していないだろうか。

 教員のなり手が少ない、教員が足りない、数を確保しなければならないのでとにかく採用する。辞めるなら辞めてもらい、次を採用する。この繰り返しでは、教員の質は低下する一方である。

 退職者の中には、教師になることに夢と希望を抱いて昨年4月、教壇に立った者もいたはずである。学校は「忙しくて若手教員の指導まで手が回らない」という実態があるかもしれない。何とかその教員を救えなかったのか。教職の魅力を語り合えなかったのか、若手教員の指導にこそ手を回さなければならない。今、この時期だからこそ、新規採用教員や若手教員のケアが重要である。

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