第3回 不登校の子へのしくじり

第3回 不登校の子へのしくじり
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 「とにかく登校させることを最優先」にしてしまった。不登校の兆しが見えていた子に対して、何とか毎日学校に来させようと声を掛け続けた。しかし、無理をさせ過ぎた結果、子どもはますます心を閉ざしてしまい、完全な不登校に…。その後も「今日は頑張れそう?」と登校刺激をかけ続けたことが逆効果だったと、保護者との面談でようやく気付いた。大切なのは「来させること」ではなく「理解し、寄り添うこと」だったと深く反省している。

しくじり①「登校をゴールにしてしまった」

 学校に来ることを目的にしてしまうと、無理や我慢が前提になる。その場は何とかなっても、結局長くは続かない。むしろ、子どもが「学校に来られないのは自分が悪いからだ」と思い込んでしまい、自尊感情が著しく下がってしまうこともある。本来のゴールは「安心して自分らしく過ごせること」。登校はその結果に過ぎない。子どものペースで「行けない自分」を受け入れるプロセスこそ支援の出発点となる。

しくじり②「一人で抱え込んでしまった」

 担任としての責任感から、「自分が何とかしなければ」と思い詰めてしまった。不登校対応は長期戦になりがちで、担任一人で抱えるには限界がある。むしろ、情報をチームで共有することで、家庭や本人との関係性も深まり、効果的なアプローチが見えてくる。学年主任や養護教諭、スクールカウンセラーなど、学校全体で連携を図ることが、支援の質を高める第一歩だった。

しくじり③「約束を破ってしまった」

 「今日は2時間目までで帰っていいよ」と約束していたのに、子どもが元気そうに見えたことで「3時間目も居られる?」とその場で延ばしてしまったことがある。子どもにとって、登校には大きな覚悟が必要だ。小さな約束でも裏切られたと感じれば、不信感はすぐに生まれてしまう。調子が良く見えても、予定を変えず、成功体験として終わらせることが次につながる。

 「とにかく来させよう」と強く働き掛けると、子どもは緊張や恐怖から一時的に登校することがある。しかし、根本的な不安や困り感を解決していなければ、再び不登校になる可能性が高い。一方で、全く刺激を与えないことも望ましいとは言えない。重要なのは、子どもの様子を見ながら、安心を前提とした関わりの中で小さな一歩を一緒に探すことである。

 このように、しくじりを繰り返しながら学んだのは、「登校するかどうか」よりも「どんな気持ちで日々を過ごしているか」に焦点を当てることの大切さだった。子どもにとって「学校」が少しずつ「自分を受け入れてくれる場所」となっていくよう、教師は焦らず、誠実に寄り添っていきたい。

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