東京都立川市の小学校で男性2人が授業中の教室に突然乱入し教職員にけがを負わせた事件は学校関係者に大きなショックを与えた。警察によれば児童間のトラブルに関し片方の保護者が担任の対応に納得できず知人の男性を学校に呼びその男性が暴れた、という経緯のようだ。「前代未聞の出来事」などと言う人もいるが、実はこれまでも似たようなケースを経験した学校は少なくない。
筆者が校長時代にも似たような事態は何度も経験している。大声を出す、カッターナイフをちらつかせる、今回の事件のように酒気を帯びて来校することもあった。共通している点は保護者が普段から学校に苦情を持ち込むクレーマー的存在で、話がこじれると知人を連れてきて大騒ぎをするという点だ。
その時の対応だが、担任以外の教員が話を聞きその間に担任や事実関係を知る教員から校長が情報収集するとともに教委や警察にも連絡し別室で待機してもらっていた。大声が聞こえたら警察関係者が入室し同席してもらうことで相手は態度を変え退散することが多かった。
今回のように教室に突然乱入するケースでは不審者侵入を想定した訓練を普段から行うことが大切であろう。著書『となりのクレーマー』で知られる関根眞一氏は、相手を困らせることが目的の「クレーマー」と一般の苦情者とは区別することが必要という。
クレーマーに対しては警察や弁護士と相談し拙速な対応をしないことである。言葉や力による暴力、理不尽な要求、全てクレーマーである。毅然とした態度で学校は対処したい。