第5回 子ども同士のトラブル対応でのしくじり

第5回 子ども同士のトラブル対応でのしくじり
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 今回お伝えするのは「事実確認を最優先」にしてしまった事案。クラスで起きた子ども同士のけんかで、とにかく何が起こったのかを明らかにしようと必死になった。両方の子どもを同時に呼んで事情を聞き、周りの子どもたちからも詳細を聞き取ろうとした。しかし、興奮状態の子どもたちはさらにヒートアップして事態は悪化。保護者からも「先生の対応で余計にこじれた」と指摘された。自分の焦りが招いた結果だったと痛感している。

しくじり①「複数人で事情聴取をしてしまった」

 効率を考えて当事者同士を一緒に呼んで話を聞いたところ、その場で再び言い争いが始まってしまったことがある。興奮状態の子どもたちにとって、相手の顔を見ることは火に油を注ぐようなもの。また、力関係のある子ども同士の場合、強い子の前で弱い子が本当のことを言えないという状況も生まれる。事実確認は必ず一人ずつ、他の子には見えない場所で行うことが鉄則。「この話は他の子には言わない」という約束も大切で、安心して話せる環境づくりが何より重要だった。

しくじり②「事実にこだわり過ぎてしまった」

 目撃者がいない中で両者の主張が食い違った時、どちらが正しいかを突き止めようと問い詰めたことがある。しかし、真実は明らかにならず、子どもたちは疲弊し、信頼関係も損なわれてしまった。大切なのは「誰が悪いか」ではなく「今後どうするか」。事実確認が困難な場合は、「お互いにこう感じているんだね。同じことが起きないようにどうしたらいいか一緒に考えよう」と未来志向の対話に切り替える。そうすることで、子どもたちも前向きに解決策を探せるようになった。

しくじり③「報告を後回しにしてしまった」

 軽いけんかだと思い、事情聴取を優先して管理職への報告を後回しにしたところ、実は頭部に軽い打撲があったことが後になって判明した。保護者から「なぜすぐに連絡をくれなかったのか」と厳しく問われ、信頼を失ってしまった。首から上のけがや、子どもが泣いて帰るような状況では、事情聴取よりもまず負傷確認と報告を最優先にすべき。養護教諭との連携、管理職への報告、保護者への連絡を迅速に行うことで、後の大きなトラブルを防げることを学んだ。

しくじり④「その場の解決で終わってしまった」

 謝罪をさせて「はい、解決」と安心してしまい、その後のフォローを怠ったことがある。数日後に同じようなことが再発し、保護者から「根本的な解決になっていない」と指摘された。トラブル対応は、その場の処理ではなく継続的な心のケアが重要。定期的に様子を確認し、関係性の変化に目を配り、保護者にもその後の経過を報告することで、真の解決につながることを実感している。

 子ども同士のトラブルは、教師の対応次第で関係が修復することもあれば、より深刻な問題に発展することもある。焦らず、冷静に、そして継続的に子どもたちに寄り添うことで、彼らの成長を支える貴重な学びの場にしていきたい。

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