第6回 持ち物ルールでのしくじり

第6回 持ち物ルールでのしくじり
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 持ち物についてルールを曖昧にしか説明していなかった。その結果、子どもたちからは「これはいいの?」「○○くんのはよくて、僕のはなんで駄目なの?」と混乱の声が続出。保護者からも「基準が分からない」「不公平ではないか」とクレームが出てしまった。明確なルールを事前に示すことと、その理由をしっかりと説明することの重要性を痛感したのだった。

しくじり①「理由を説明できなかった」

 「ルールはルールだから」という曖昧な理由で持ち物を制限してしまったことがある。子どもから「どうして駄目なの?」と聞かれても、「駄目なものは駄目」と押し切ろうとした。しかし、納得のいく説明ができなければ、子どもも保護者も理解してくれない。大切なのは「学習に集中できるように」「友達との関係を大切にするため」など、合理的で分かりやすい理由を教師自身がしっかりと理解し、言語化できること。理由を明確にすれば、多くの場合は理解を得られることを学んだ。「自分と友達の両方にとって、学習や集団生活にふさわしいかどうか」を一緒に考えることで、子どもたちも納得できる解決策を見つけられる。

しくじり②「後出しルールを作ってしまった」

 学期の途中で、ある子が持参した文房具を見て「それは派手過ぎるから駄目」と急に言ってしまったことがある。事前にルールを示していなかったため、保護者から「なぜ最初に言ってくれなかったのか」と指摘された。持ち物のルールは学年初めに明確にし、学年通信や懇談会で継続的に伝えることが重要。「当初からお伝えしていたことですが」と一貫した姿勢で説明できれば、トラブルの多くは防げることを実感している。学年の初めでなくても、トラブルが起きる前に先に告知しておくことは大切だ。

しくじり③「関係性を軽視してしまった」

 子どもたちが納得したルールであるにもかかわらず、それを適用したときに、子どもたちから強い反発を受けた。同じ内容でも、普段から信頼関係を築いている同僚の先生が話すと素直に受け入れられている様子を見て、関係性の大切さを痛感した。どんなに正しいルールでも、日常のコミュニケーションが不足していれば「この先生の言うことは聞きたくない」となってしまう。持ち物指導の成功は、普段からの豊かな関係づくりにかかっていることを学んだ。関係性が悪い子に伝えなければならないこともあるとは思うが、その際には十分な受容と共感を大切にし、本人の価値観に寄り添いながら合意形成を目指すことが大切になる。

 持ち物ルールは単なる規則ではなく、子どもたちが集団生活の中で相手を思いやり、適切な判断力を身に付ける機会でもある。教師として、なぜそのルールが必要なのかを丁寧に伝え、子どもたちと一緒に考える姿勢を大切にしていきたい。

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