「上から目線」で改善を迫ってしまった 時間にルーズな様子を見て、「時間を守りなさい」「整理整頓しなさい」と一方的に注意を続けてしまった。一時的には改善されたものの、次年度になると元の状態に戻ってしまい、子どもたちの根本的な変化にはつながらなかった。保護者からも「家でも同じような注意をしているが効果がない」と相談され、教師主導の指導では限界があることを痛感した経験だった。
「君たちの問題は時間を守れないことだ」と教師側が一方的に問題を設定してしまったことがある。子どもたちは「また先生の説教が始まった」という受け身の姿勢になり、主体的に改善しようという気持ちは生まれなかった。大切なのは、子どもたち自身に「今、困っていることは何か」「直したいことはあるか」と自由に意見を出させること。彼らが挙げた複数の問題の中から、時間の話をピックアップする形にすれば、「自分たちで決めた目標」として取り組む気持ちが生まれることを学んだ。
「みんなで意識を高めて頑張りましょう」「気を付けるようにしましょう」といった抽象的な改善策ばかりを提示してしまったことがある。しかし、具体的な行動指針がなければ、子どもたちは何をどう変えればよいのか分からない。「集合時間の3分前には全員が集まれるよう、5分前には教室を出る」「チャイムが鳴る前に席に着く」など、数字と行動で明確な目標を設定することで、達成度も評価しやすくなり、子どもたちも具体的に行動を変えられるようになった。
目標を設定した後、忙しさにかまけて振り返りの時間を取らなかったことがある。最初は頑張っていた子どもたちも徐々に意識が薄れ、結局元に戻ってしまった。生活習慣の改善には、定期的なフィードバックが不可欠。週に1回程度、「今週の達成度は何点だったか」「100点でなかった理由は何か」「来週はどう改善するか」を子どもたち自身に評価させることで、自分の行動を客観視する習慣が身に付いていく。
問題が起きたときだけ注意して、日常的な習慣づくりを軽視してしまったことがある。しかし、本当に大切なのは、場所や担任が変わっても自分で生活を管理できる力を育てること。「問題を見つける→現状を評価する→具体的な改善策を考える→実行する→振り返る」というサイクルを子どもたち自身が回せるようになれば、どんな環境でも自分の生活を改善していける。このプロセスを身に付けさせることこそが、真の生活指導だと実感している。
生活習慣の改善は、教師が「やらせる」ものではなく、子どもたちが「やりたくなる」ように導くもの。彼らの主体性を引き出し、自分で考え、行動し、評価できる力を育てることで、一生使える生活力を身に付けてもらいたい。