中教審の教育課程企画特別部会は5月12日の会合で小学校から高校段階までの情報活用能力の育成について協議した(本紙5月19日付号)。
文部科学省は情報教育の系統的な指導が行われていないなどの課題を踏まえ、小学校での一定の時間の確保などを論点として提示。小学校では教科などに明確な位置付けがなく授業時数や指導内容で地域・学校間の差があること、小学校の指導内容と中学校「技術・家庭科」の技術分野、高校の情報科との体系が明確ではないこと、探究的な学習と情報活用能力の連携が十分とは言い難いことが具体的論点。
5月22日の部会では文科省は小学校の総合に「情報の領域」を付加する方針を打ち出した(本紙5月29日付号)。総合の探究的な学習は主として体験的な学習・協働的な学習を中心に諸感覚を総動員して自ら学ぶことを重視している。その中に情報教育を系統的に挿入することはなじまないのではないか。
同部会では愛知県春日井市立出川小学校が実践発表し、校長が「情報活用能力の育成に当たっては小学校段階において系統性のあるまとまった時間の中で、操作スキルだけでなく課題設定、情報収集、整理、表現、モラルといった力を一体的に育んでいくことが効果的」と述べた。きちんと教えるということだ。
教科にして指導すべきではないか。総合の中でなど中途半端にではなく小中高の体系化を図り一貫性のある教育課程の下に指導するべきだろう。総合の全国研究会や学会はどう受け止めるのか。「あぶ蜂取らず」にならないことを願う。