第10回 子どもの認め方でのしくじり事例

第10回 子どもの認め方でのしくじり事例
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子どもの認め方でのしくじり

 「子どもを認めることが大切」と聞いて、とにかく褒めまくるのがよいと思い込んでしまった。「すごいね」「上手だね」「頭がいいね」などと声を掛けていたが、子どもたちの反応は次第に薄くなっていった。そうしてある日、普段よく褒めていた子が「どうせ先生は誰にでもそう言うんでしょ」とつぶやいた。

しくじり①「表面的な褒め言葉ばかりを使った」

 「すごい」「上手」「頭がいい」など、具体性のない褒め言葉を連発してしまった。子どもたちは最初のうちは喜んでいたが、次第に「いつものやつ」として受け流すようになってしまった。

→代替案:「計算を間違えたとき、消しゴムで丁寧に消して書き直していたね。諦めずに取り組む姿勢が素晴らしいよ」など、具体的な行動とその意味を伝える。プロセスに焦点を当てた認め方をする。

しくじり②「能力ばかりを褒めて努力を見落とした」

 テストで良い点を取った子に「頭がいいね」「才能があるね」などと能力を褒めていた。しかし、その子が次のテストで点数を落とした時に「前回ほど頑張れなかった」と落ち込んでしまった。

→代替案:「毎日コツコツと漢字練習をしていた成果が出たね」「分からない問題を友達に聞いて解決しようとする姿勢が良かったよ」など、努力や取り組み方を具体的に認める。

しくじり③「存在そのものを認めることを忘れた」

 成果や行動ばかりに注目して、その子がそこにいてくれることの素晴らしさを忘れてしまっていた。問題行動の多い子に対して、「何かできたときだけ」認めるようになり、普段は注意ばかりしていた。その子は次第に自分の存在価値を見失い、さらに問題行動が増えてしまった。

→代替案:朝のあいさつで「今日も会えてうれしいよ」「君がいてくれるとクラスが明るくなる」など、その子の存在そのものを認める言葉を日常的に伝える。条件付きではない愛情を示す。

 子どもを認めることの本質は、「評価すること」ではなく「その子の価値を見つけて伝えること」だった。

 今回でこの連載は終了する。「しくじり」というのはネガティブに見えて、実は成長へのステップである。失敗は早いもの勝ちで、それこそが学びのモデルとなる姿だと捉えている。「しくじり」を恐れず、「しくじり」を迎えにいくような気持ちでトライしてほしい。全ての先生方を全力で応援している。(おわり)

がくらぼアカデミー 

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