(鉄筆)不審者の侵入

(鉄筆)不審者の侵入
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 校長時代、月1回、地震や火災などさまざまな状況を想定して避難訓練を行ってきた。その中で最も対応が難しく、子どもや教職員の生命の危険にさらす可能性があり、危機感を持って実施してきたのが校内への不審者の侵入だった。

 私自身が不審者に扮し校内を大声で叫びながら走り回ったことがあった。さすがに凶器は持たなかったものの、それでも教職員はなすすべもなく、子どもたちはただ逃げ惑うばかりだった。改めて、対応の難しさと日頃からの備えの大切さを思い知らされた。

 5月、東京都立川市の小学校に男2人が侵入し教員らに暴行を加え、現行犯逮捕される事件が発生した。2人の男が、校内に侵入し、教室で教員に危害を加え、子どもたちに恐怖を与えたことは重大なこととして受け止めなければならない。ただ、現在の学校の状況を考えた時、今回の事件は全国のどこの学校でも起こり得ることであり、部外者の侵入に対して学校はあまりに無防備である。

 教職員や保護者、地域のボランティアなどの校内巡回なども考えられるがそれも限界がある。警備員の配置など行政的な対応が急務であるが、それでも決して万全ではない。今、求められるのは、教職員にとっても子どもたちにとっても「させられる訓練」から「自ら考え、行動する」訓練である。

 どのような危機に直面しても状況を冷静に的確に把握し、自ら考え、判断し、学校の構成員の生命や学校全体の安全・安心を確保できる臨機応変な対応力を身に付けることであると思う。待ったなしの対応が求められている。

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