2025年度の「全国学力・学習状況調査」の児童生徒質問調査で、「授業の内容がよく分かる」と答えた児童生徒の割合が、全教科で前回調査を下回り、小学校算数では4年間で約10ポイント減って41.9%にとどまっていることが、文部科学省が7月14日に公表した同調査結果(速報)で分かった。阿部俊子文科相は15日の閣議後会見で、「分析を深める必要があると考える」と述べ、今月末に公表する詳細な結果も踏まえて、対応を検討する考えを示した。
文科省は同調査の児童生徒質問調査で、毎年、各教科への興味・関心、理解度を調べるため、「授業の内容がよく分かる」の設問を設け、「当てはまる」「どちらかといえば、当てはまる」「どちらかといえば、当てはまらない」「当てはまらない」から選択させている。
同省が公表した結果によると、全教科とも「当てはまる」と答えた児童生徒の割合が前回調査から減っていた。このうち14日に数値を公表した小学校算数では、「当てはまる」と答えた児童は41.9%にとどまり、前回(45.0%)を3.1ポイント下回った。減少傾向は毎年続いており、4年前の21年度(51.7%)と比べると9.8ポイント減った。
中学校数学についても同様の傾向が見られ、「当てはまる」と答えた生徒は30.3%にとどまり、前回(35.3%)より5.0ポイント、21年度(35.7%)と比べると5.4ポイント減っていることが分かった。
また、「学校外での過ごし方」について、学校の授業時間以外の「平日の勉強時間(学習塾での勉強を含む)」を尋ねたところ、「1時間以上」と回答した児童生徒の割合も減少傾向が続いていることが分かった。小学校では54.3%で21年度(62.8%)より8.5ポイント、中学校では61.7%で21年度(75.8%)より14.1ポイント減っていることが分かった。
同省によると、「授業の内容がよく分かる」と回答した児童生徒ほど各教科の正答率・スコアが高い傾向があるといい、阿部文科相は「いずれも例年、各教科の正答率・スコアと正の相関が見られる項目であり、分析を深める必要があると考えている」と述べた。全国学力調査の質問調査の詳細な結果は今月31日に公表される予定で、阿部文科相はこの結果も踏まえて今後の対応を検討する考えを示した。
一方、同省は今回の調査に合わせ、全国の小中学校に対してアンケート調査を実施し、支援が必要な児童生徒の参加状況を初めて調べた。その結果、小学校では長期欠席児童1万1314人を含めて4万485人、中学校では長期欠席生徒1万4893人を含めて2万4850人が参加していたことが分かった。
これについて阿部文科相は「支援を必要とする児童生徒の参加状況を初めて把握できたことは大変意義深いと考えている。今後、アンケート結果を活用しながら、これらの児童生徒の学力学習状況の分析を進めて、支援策の検討充実につなげたい」と述べた。