生成AI、読書感想文に使うのはなぜダメ? 小学校で公開授業

生成AI、読書感想文に使うのはなぜダメ? 小学校で公開授業
グループで生成AIについて議論する児童ら=撮影:板井海奈(写真の一部を加工しています)
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 生成AIで読書感想文を書くのは、どうしてダメなんだろう――。小学生に生成AIの仕組みやリテラシーを伝える授業が7月17日、千葉県船橋市立船橋小学校(野木英表校長、児童471人)で実施された。企業と連携して新たな授業を提案するNPO法人企業教育研究会と、コンサルティング会社のアクセンチュア㈱が教材を開発した。

 授業では、ChatGPTを使用。年齢制限があるため児童たちは直接触れずに、講師が操作する画面をプロジェクターで見ながら生成AIの仕組みや活用方法を学んだ。

 まず生成AIで画像生成を体験。講師が架空の同校の「ゆるキャラ」を生成するように指示を出すと、船をモチーフにしたキャラクターが画面に浮かび上がり、児童らは大いに盛り上がった。

 さらに講師から、生成AIに指示を出すためのプロンプトのコツも伝授された。児童らは「どんな人に向けた回答か示す」「回答の形式を指定する」などに気を付けながら、「苦手な学習の克服方法」をテーマにプロンプトを考えた。6年生と1年生に向けたものをそれぞれ出力し違いを比べたり、夏休み明けに控えた漢字テストに向けて練習プリントを生成したりなど、学習に生かす便利さを体感した。

 一方で授業後半では、生成AIを使用する上での注意点について学んだ。講師から生成AIはネットの情報を学習して、連想ゲームのように単語をつなげながら文章を生成していると説明された。中には間違ったものが生成されることや、個人情報の入力に注意することなどについても触れた。

 これらを踏まえ、生成AIを読書感想文など宿題に利用すべきかどうかをグループで話し合った。「カンニングと似たようなことだと思う」「(自分で取り組まなければ)思考力が落ちてしまう」などの意見が挙がり、児童が自分事に捉えながら思考する姿が印象的だった。

 授業を終えた児童の一人は「生成AIは何となく怖いものだと思っていたが、便利な面があることを知って興味が湧いた。(年齢制限から外れる)中学生になったら、苦手なスポーツがうまくなるコツを生成AIに尋ねて試してみたい」と笑顔で感想を語った。

 講師を務めた企業教育研究会の古谷成司授業開発研究員は「生成AIを使う上でのルールは1人で学べる部分もある。ただみんなで議論して、確認し合いながら学ぶ形が大切だと感じる」と強調した。

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