憲法に反し教育勅語を用いるのは許されず 文科相が見解

憲法に反し教育勅語を用いるのは許されず 文科相が見解
参院選の結果についてコメントする阿部文科相=撮影:藤井孝良
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 参院選で与党が過半数割れとなったことを受けて、阿部俊子文科相は7月22日の閣議後会見で「大変厳しいものであったし、その結果は重く受け止めなければならない」と話した。参院選で躍進した参政党が発表している「新日本憲法(構想案)」では、教育勅語などの尊重がうたわれている。阿部文科相は教育勅語について、「一般に、学校教育において憲法や教育基本法に反する形で教育勅語を用いることは許されない」と見解を述べた。

 7月20日に投開票された参院選では、自民・公明与党は47議席にとどまり、過半数を維持できずに衆院と同じ少数与党となった。石破茂首相は続投する考えを表明している。

 この結果について阿部文科相は「大変厳しいものであったし、その結果は重く受け止めなければならないと考えている。民主主義の根幹である選挙は、国民の意見を聞く貴重な機会であり、今般の選挙期間にも、国民の皆さまから文部科学行政に関わるさまざまなご意見、ご要望、激励などの声を聞かせていただいた」と振り返り、「私としては、文部科学大臣として国民の皆さまの声をしっかりと受け止めさせていただきながら、課題に対し一つ一つ確実に、着実に取り組んでいく必要があるということに尽きる」と述べた。

 今回の参院選で大幅に議席を増やした参政党は、今年5月に「新日本憲法(構想案)」を発表している。教育について規定した第9条の4項では「教育勅語など歴代の詔勅、愛国心、食と健康、地域の祭祀や偉人、伝統行事は、教育において尊重しなければならない」としている。

 教育勅語を尊重すべきものと位置付けることの是非を問われた阿部文科相は「教育勅語は、日本国憲法および教育基本法の制定などをもって、法制上の効力を喪失しているものと承知している。また、一般に、学校教育において憲法や教育基本法に反する形で教育勅語を用いることは許されない」と強調した。

 

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教育勅語 1890年に国民教育の基本方針として天皇から下賜された。忠君愛国などの道徳観を示した教育勅語は全国の学校で奉読された。日本国憲法や教育基本法を踏まえ、1948年に衆院で教育勅語の排除と指導原理的性格を認めないことが宣言されており、参院でも失効確認が決議されている。

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