(鉄筆)わいせつ教員

(鉄筆)わいせつ教員
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 厳しい環境の中で懸命に働く教員の足を引っ張るような驚くべき事件が発生した。公立小学校教員らが女子児童の下着などを盗撮、SNSのグループチャットで共有していた件である。関係した教員は司法の手により刑事罰を受けるほか、教委による行政処分も受け厳罰に処せられることであろう。

 こうした事件が報道され処分が確定すると、加害者はもちろん被害者側のことも世間は関心を持たなくなる。だが被害者は一生心に重荷を背負う。今回の事件のように再犯率の高い性犯罪ではなおさらだ。

 これまで懲戒免職となった教員の教員免許状は失効後3年で一定の手続きを行えば再交付されていた。そこに待ったをかけたのが2022年施行の「教育職員等による児童生徒性暴力等の防止等に関する法律(わいせつ教員対策新法)」である。失効が性犯罪によるものであれば再交付のための厳しい審査を受け、その可能性は極めて低いと言われる。ただし性犯罪の前科があっても免許状を所有したままという者には新法では対処できないでいた。

 そこで登場したのが24年6月に成立した「日本版DBS」(施行は26年)である。学校や保育施設など子どもと接する職場で働く人間の性犯罪歴を確認し再犯防止のために制度化されたものだ。ただ学習塾などは前科の有無の確認が任意であるなどいくつもの課題が指摘されている。

 今回の事件で逮捕された教員が学校に戻ることはないだろうが、学習塾などに復帰する懸念は残る。日本版DBSが被害者に寄り添った制度に改善されることを願いたい。

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