AIが普及した未来の仕事について中高生にイメージを持ってもらおうと、転職サイトを運営するビズリーチはこのほど、AIを活用してサービスを展開している企業と連携して、中高生がAIを使った仕事を体験するイベントを都内で開いた。参加した中高生は、現在のビジネスがAIによってどう進化・発展しているのかを学び、自分自身が社会に出たときに、AIとどのような関わり方をしながら仕事をしているかを話し合った。
ビズリーチではこれまでも学校向けにキャリア教育の支援などを行ってきたが、今回初めて中高生向けのキャリアイベントを開催。約30人の中高生とその保護者が参加した。
前半は、実際にAIを使ったサービスを展開している企業から、AIを具体的にどのように活用しているのかを聞いた。
IT企業のサイバーエージェントでは、AIによる広告の自動生成を手掛けている。従来の作業工程がAIの活用によって省力化されたことや、AIタレントを使った動画広告の可能性などを実例を交えながら中高生に紹介した。
スマートフォンやタブレットで撮った全身の写真から、姿勢の状態を評価したり、将来の身体の変化予測に対応した改善トレーニングを提案したりするアプリを提供しているSportipは、代表取締役CEOの高久侑也さんが自ら説明。病気が原因で野球をやめたことや十分なリハビリができないまま祖父が亡くなった経験から、スポーツやリハビリの運動指導を変えたいと会社を立ち上げたことを語った。
その後、参加者は同社のアプリを体験。実際に自身の姿勢データを測定した、都内在住の中学1年生の男子生徒は「自分の姿勢から未来の身体がこうなるんだと知ることができてうれしかった。部活動でサッカーをしているが、まだAIは活用していない。高校生くらいになったら、トレーニングで使うこともあるかもしれない」と驚いた様子。「人の手でやるよりもAIを用いた方が、一人でもできる行動が大幅に広がると思った」と、AIの可能性を実感していた。
後半はグループに分かれて、AIが進化した未来の仕事はどのように変化するかや、そのときに人間に求められる力とは何かを話し合った。「大切にしていきたい力は共感力と優しさ。AIは感情があるように見えても、実際に話してみると模倣されたものだと感じる。人間にしかできない感情表現を大事にして、多くの人とコミュニケーションをしながら人間同士で助け合って自己表現することが大事だと思った」「今の自分が一番何をしたいのかを考えて実行に移していきたい。そのためには虫が幼虫からさなぎに姿を変えるように、どんどん自分を変えていきながら、この時代を生き抜いていきたい」などの意見が出た。
ビズリーチみらい投資プロジェクト主宰の加瀬澤良年さんは「子どもたちはAIが実装されたサービスを使っているが、AIとは何かを意識して使っていることは少ないのではないか。サービスのつくり手がAIをどう活用しているかを知ってもらえたら。AIの進化は日進月歩で、これから社会に出ればAIを活用する力が求められるようになる」と、イベントの狙いを話した。
【キーワード】
キャリア教育 人が生涯を通じてさまざまな役割を果たす中で、自らの役割の価値などを見いだし、積み重ねていくキャリア発達を促す教育。社会的・職業的な自立に向けて必要となる能力や態度を育てることを重視しており、扱われるテーマは就職や進学だけではない。