小学校は20年度から新学習指導要領が全面実施となる。目指すところが漏れなく確実に実現できるか、すなわち完全実施できるかが問われる。以下はこの3年間の移行期間に取り組まれた主な事柄である。
▽「社会に開かれた教育課程」の編成
▽一人一人の子供の資質・能力を豊かに育む教育課程の編成
▽教育の質を向上させるカリキュラム・マネジメントの3つの側面からの実現
▽資質・能力の3つの柱の育成を実現できる指導計画の作成と実施
▽資質・能力の3つの柱を確実に身に付けさせることのできる「主体的・対話的で深い学び」を実現するための授業改善
▽学習の基盤となる資質・能力を育成する教科等横断的な教育課程の編成と実施
▽現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を育成する教科等横断的な教育課程の編成と実施
▽新設された道徳科を核とする道徳教育の充実の取り組み
▽新たに導入された外国語活動・外国語への対応
▽新たに導入されたプログラミング教育への対応
▽特別な配慮を必要とする児童への指導の充実に向けた取り組み
▽学習評価の充実に向けた取り組み
▽幼稚園・保育園、中学校との接続・連携の推進
▽新教育課程への家庭・地域社会との連携及び協働の確立
以上に抜けや漏れ、遅れがあれば困るのは子供たちである。早急に対応策を講じ、新年度に入ってからも計画的に取り組む必要がある。
資質・能力の育成については、学習指導要領の各教科等の内容が資質・
能力の3つの柱で再整理されている。これを教育課程に位置付け、新教科書を教材として指導計画が作成されている。
また、学習の基盤となる言語能力、情報活用能力、問題発見・解決能力などの資質・能力、現代的な諸課題に対応して求められる資質・能力を教科等横断的に教育課程に位置付け、それを実現する指導計画が作成されている。
4月からは、これらに基づいて全教職員が着実に実施・実践し、指導を積み上げていくことが大切である。また、資質・能力については子供たち一人一人が内に持っている資質・能力を豊かに開花させることも大切にしなくはならない。
身に付けさせたい資質・能力とからめて、一人一人が有している個性や特性などが発揮されるように指導を工夫することを忘れないようにしたい。
教育の質を高めるために編成された教育課程・指導計画を実現するのは日々、毎時の授業である。まさに授業が命であり、授業で勝負である。その改善の視点が主体的な学び、対話的な学び、深い学びの3つの視点である。これらの視点からの授業改善に当たっては、中教審答申に示されている改善の方向性を重視する必要がある。
主体的な学びでは「学ぶことへの興味・関心」「キャリア形成の方向性と関連付け」「学習の見通しをもった粘り強い取り組み」「学習活動の振り返り」の観点が重視されている。
あれやこれや取り組む前に、この観点を大切にして授業改善の出発点とするのがよいのではないか。なぜなら、これらは各学校・教師がこれまでも営々と取り組んできたことであるからだ。それらが本当に確実に効果的に行われてきたのか、行われているのか、見直してみることが必要である。他の2つの授業改善の視点についても同様である。
授業改善が資質・能力の育成を目指していることをしっかりと踏まえたい。