【子どもアドボカシー(6)】子どもアドボカシーの原則

【子どもアドボカシー(6)】子どもアドボカシーの原則
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 イギリスの先進的な制度と実践に学んで、①エンパワメント、②子ども主導、③独立性、④守秘、⑤平等、⑥子ども参画という「子どもアドボカシーの6原則」を私は提唱している。

 ①の「エンパワメント」とは、子どもが自分の言葉で意見を表明できるように気持ちを聴き、意見をまとめ伝える手伝いをするということである。

②の「子ども主導」とは、アドボケイトは子どもの指示と許可に従って行動するということである。

③の「独立性」とは、子どもに関する意思決定、教育などを行う機関(福祉事務所、教育委員会、施設、学校)などと利害関係を持たないという意味であり、日本では幾つかの自治体に設置されている「子どもオンブズパーソン」がこれにあたる。独立性のあるアドボカシーは、最も純粋で強力である。教職員は学校組織の一員であり、性格が異なる。それでも、こうした原則は参考になり、これらを尊重することで優れたアドボカシーができるようになる。

④の「守秘」とは、子どもの許可なしに、子どもから聴いたことを他者に伝えてはならないということである。ただし、虐待や暴力などの危険があるときはその限りではない。

⑤の「平等」とは、すべての子どもたちに平等にアドボカシーを行うということである。特に障害児や乳幼児は、これまで意見表明ができない存在だとみなされてきた。しかし、言葉を話さない子どもたちにも意思や気持ちはあり、泣いたり笑ったりして意見表明をしている。こうした子どもの「言葉で表現されない声」を聴き、代弁することが必要である。

 最後に、⑥の「子ども参画」とは、アドボカシーは常に子どもに相談し、協力を得ながら行わなければならない、ということである。

 学校において教職員がフォーマルアドボカシーを行う場合には、②の子ども主導、③の独立性、④の守秘を厳密に守ることができない。教育や指導という役割もあり、他の教職員との連携も求められるからである。

 しかし、例えば養護教諭やスクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなどは、学級担任などとは違い、子どもにとって相談しやすい第三者的な存在であり、代弁者になりやすい。こうした人たちが、独立アドボケイト的な役割を果たすことが期待される。

 一方、学級担任などは、子どものことをよく知っており、学級での生活や授業の中で子どもの意見や願いを実現できる立場にある。子どもにとって頼りになるフォーマルアドボカシーが可能なのである。

 このように立場の違う職員間の連携と、子どもオンブズパーソン等の第三者のアドボケイトとの連携が、学校に求められる。

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