子供の貧困が一気に悪化している。新型コロナウイルスの感染拡大により、親の失業や大幅な減収が続く。生活や学業を支える高校生のアルバイトも打ち切りや減収している。一方で、休校が続いたことで光熱費や家庭学習の教材費、昼食代などの出費が増えた。長期間、給食もなく、子供の栄養不足も深刻となった。オンライン教育の場合、機器や通信費の自己負担が厳しい家庭も少なくない。さらなる学力格差の拡大も懸念されている。ここ数年で急増している子ども食堂、学習・生活支援、居場所事業など民間の子供支援事業も休止したところが多い。家庭でも学校でもない「第3の居場所」を失う子供たちの危機は深まるばかりだ。こうした今こそ「学校をプラットフォームにした総合的な子供支援」が必要だ。学校再開や第2波以降の休校時に、医療・介護従事者などキーワーカーの子供と共に、多様な困難を抱える子供を優先的に通学できるような配慮を全ての学校に求めたい。新型コロナウイルスの感染拡大は、全世界を襲った未曽有の大災害である。災害時に学校が避難所になるように、困難を抱える子供にとって安全・安心の場が学校なのだ。給食再開が難しくても、避難所での弁当配布と同様に食の公的保障が必要だ。そして地域で子ども食堂に関わっている人々に学校に来てもらって子供や家庭の食支援をすすめてもらってはどうか。また、オンライン教育では、狭い部屋で画面をずっと見て勉強すること自体が困難なケースも少なくない。こうした子供たちがますます教育から取り残されることがあってはならない。例えば、教員と協働して、学習・生活支援に取り組むNPOなどによる、学校を拠点とした活動の展開なども大切ではないか。さらに、困難世帯へ福祉などの必要な情報が届いておらず、手続きができない場合も少なくない。スクール・ソーシャルワーカーのみならず、行政などの福祉職ともさらに連携することで、孤立を防ぎ、家族丸ごとの支援につなげることができる。「子供たちを放置できない」と孤軍奮闘する教職員の現状に心を痛めている。教職員の「働き方改革」が求められている今こそ、学校をさらに開放して、多様な人々とともに子供たちを育むことが必要ではないか。