コロナ騒動で学校におけるICT環境の貧弱さを各方面から指摘された訳ではないだろうが、文科省が6月24日、現在禁止している携帯電話やスマホの中学校への持ち込みを条件付きで認める素案を発表した。条件は、①学校での管理方法や盗難等のトラブル発生時の責任の所在の明確化②保護者によるフィルタリング設定③学校・家庭によるスマホ等での危険性に対する指導――の3つ。すでに大阪府は、2018年の大阪北部地震を契機に府内の全小・中学校での持ち込みを認めているが、実際に実施しているのはわずか3つの自治体だという。それほどスマホの学校持ち込みはリスク面の方が高いと家庭、学校とも感じていると言える。東京都内の学校選択制をとっている自治体の中には通学時間が長くなることからスマホの持ち込みを許可している学校がすでにあると聞く。その場合、生徒は登校後すぐに担任にスマホを預け下校時に返却してもらう方式だ。ただ、預かる際にスマホの画面が割れるなどの事故がままあり、弁償などで保護者とトラブルになるケースがあるという。高校の中には生徒のスマホをタブレット代わりに授業で活用する例もある。要は生徒の規範意識をどう育てるかという問題に行きつくのであろう。スマホの場合これまでの持ち込み不可の対象物とは質的に違う代物であることは明白だ。通話、メール、SNS、ネット、ゲームなどまさに万能の機器といってよい。文科省が示した3つの条件をクリアするだけで子供たちが正常な学校生活を送れるとは思えない。