10年前から現在に至るまで公立小学校の校長を務め、ユネスコスクールの加盟やホールスクールアプローチによってESDの推進といった先進的な取り組みを進めてきた著者が、「校長が上手に任せることで、教職員が主体的に動き出すのです。そんな雰囲気こそ、快適な学校やのびのびした子どもを育てることにつながると信じています」と「任せる」の必要性を説き、学校という組織のリーダーである校長の心構えを指南する。役職が高くなるとつい自分の存在感を出したくなってしまうが「『校長先生はいなくても平気です』と言われるのが理想の学校なのだと私は思います」とキッパリ。「裏方」として校長がやるべき業務が続く。ただ、決して実行が難しいものではなく、「学校だよりと学年だよりを一元化」「プリンターやコピー機の配置を換えて移動・時間短縮」など、すぐにでも取り掛かれるものばかり。「教職員同士の仲がよいと、子どもの安心感を育むことになります」と教師間のコミュニケーションの充実化の必要性を指摘されているように、若手教師を孤立させないためのフォロー術だけでなく、ベテラン教師への接し方についても言及されており、「校長視点」が徹底されている。近年、千代田区立麹町中学校の校長を務めた工藤勇一氏が注目されるようになり、校長に対する期待感が高まっている。子供だけでなく教師が輝ける学校を作るためにぜひ目を通しておきたい。