コロナ禍の世界で、今私たちはまさに、これまで幾度となく言われてきた「予測不可能」な未来に立ち向かわざるを得ない事態に直面している。本書は、Society5.0と呼ばれる「超スマート社会」の到来を目前に、予測できない社会の変化に対応できる人材に求められる資質、能力は何か、またそれらをどう育成すべきかについてまとめたものである。18年6月に大臣懇談会として発表された「Society5.0に向けた人材育成」、その後文科省から示された「Society5.0に向けた学校ver3.0」を踏まえた上で、子供たちがよりよく生きる力を育むための具体的プランを提案している。筆者が提唱する「サイコエデュケーション」とは、人間の人格形成の基盤となる「知育・徳育・体育」の根源を支える総合的な教育を意味する。これまでバラバラに教育が推進されてきたきらいがある頭脳(思考)、心情(感情)、身体(行動)の3つをバランスよく教育することで、知・徳・体の統合を目指す教育が重要であると指摘する。構成は第一部「理論編」が▽人間として生きる実感が希薄な時代に▽時代を超えて輝く「人間としての強み」とは▽資質・能力観への歴史的アプローチ、第二部「実践編」が▽これからの時代に必要な確かな学力をどう育てるか▽これからの時代に必要な豊かな人間性をどう育てるか▽これからの時代に必要な健全な行動力をどう育てるか――の計6章からなる。