新学期が始まった。早い学校は8月17日から2学期の開始。19週間にも及ぶ2学期。これだけ長い学期はわが国の学校制度で初めてだ。北国の学校の2学期開始は早いが、冬休みが長い。途中3連休が2回あるものの、土曜授業で削る学校もあるだろう。木枯らしが吹きクリスマスまでの長い日々だ。8月中旬から猛烈な暑さが続いた。各地で気温の最高記録を更新した。その中での学校生活。涼しくなってから、心身の疲れがボディーブローのように効いてくる。2学期に予定していた行事を中止や縮小した学校も多い。楽しみにしていた運動会や修学旅行ができない。学芸会、合唱コンクールなどの大きな行事から、社会科見学、調理実習などの活動まで変更されるイベントはかなりの数だ。周年行事や研究発表会を延期にした学校もある。日本の義務制の学校の2学期は「行事学校」である。長い2学期に変化をもたらし、各種スポーツや文化活動に挑戦させる。そのようにして長い2学期をゴールまで駆け抜けてきた。それが行事の少ない「勉強学校」になる。行事もなく、ただ粛々と過ごす「勉強学校」に子供は慣れていない。教師も初めての経験だ。しかも例年より長い2学期になる。学校は長期休業期間の遅れを取り戻したい。授業進度も早くなりがち。10月頃までは何とか全力走で駆け抜けられる。しかし、2学期の折り返し地点過ぎから、ペースが落ちてくる。普段の年でも11月は要注意月間だ。日没が早く、北風が吹く時期、心身が消沈しがちだ。新学期からの人間関係のほつれや夏以来の疲れも蓄積し、大人も子供もストレスをためやすくなる。東京都教育委員会は、これまでも6月、11月、2月をふれあい月間(いじめ防止強化月間)としている。今年の11月は特に、子供たちの健全育成に万全の備えが必要だ。加えて、新転任教師たちのメンタルヘルス維持にも留意する必要がある。短期間の夏休みで、リフレッシュが不十分だった新転任教師たち。秋風が身に染みる時期になって、赴任以来の我慢も限界になる。管理職や教委関係者は、長い2学期をゴールの日までイメージする。そして皆が元気に学校生活を送れるように、ゆったりと包み込む懐の広さが肝要だ。
(全国連合小学校長会顧問)