(鉄筆)ユニセフが9月3日、……

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ユニセフが9月3日、子供の幸福度ランキングを発表した。日本は総合順位で参加国38カ国中20位だったが、「精神的幸福度」は37位という結果であった。精神的幸福度は生活満足度と自殺率を指標としている。生活満足度について日本は62%で、1位のオランダ(90%)に大きく水をあけられた。自殺率が最も低い国はギリシャで1.4人、日本はその5倍の7.5人であった。前回調査(2013年)で日本は総合で6位であったが、その時は生活満足度と健康に関するデータがなく今回の結果との比較はできない。しかし、前回調査の際に日本の子供の幸福度に危機感を持っていたのが東京都立大学の阿部彩教授である。阿部氏は、所得階層のうち底辺層の子供が属する世帯の所得を中位の子供と比較し、その差(相対的所得ギャップ)をみることで底辺層の子供の貧困度が分かるとした(ユニセフ「イノチェンティ レポートカード13」)。それによれば、日本の相対的所得ギャップは先進諸国41カ国中、下から数えて8番目という貧困の深さを物語る数字であった。この数字は子供の学力や健康、自己肯定感の低下といった事態を招くという。13年調査でも日本の子供の幸福度はすでに低かったことを明らかにしていたのだ。内閣府は現在「子供の貧困対策に関する有識者会議」を開き、子供の学力保障など生活困窮家庭への支援策を協議しているが、コロナ禍への対策でにわかに教育分野に社会の注目が集まっている昨今、子供の精神的幸福度の視点からも学びの保障の在り方を考えるべきであろう。

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