先の予測ができないポスト・コロナ時代。学校現場においても教育、学びの在り方について考え直す機会が増えているはずである。本書は、日本ではまだ聞き慣れない「ハーモニー教育」を初めて紹介し、自然界と寄り添って生きる新たな教育を紹介する本である。「ハーモニー教育」とは、英国王室チャールズ皇太子が提唱する、自然が子供たちの先生となり、相互依存、多様性、健康…など自然界から見いだせる7つの原則が導く学びのことをいう。この原則に基づいた実践教育を行い、ESD(持続可能な開発のための教育)の優良実践校として知られるのが、英国のアシュレイ小学校という公立小学校。自然界に見られる諸原則と「価値観」に重きを置き、「問い(掛け)」を中心に学び、「グレート・ワーク」によって学びの集大成を分かち合い、皆で祝福するという一連の学びのカリキュラムが紹介されている。まさに、「主体的・対話的で深い学び」が実現された学校である。正解がないポスト・コロナ時代、「問い」を中心に据えた教育、当たり前を問い直す資質や想像力を養うことがこれまで以上に求められるはずだ。また、地球温暖化をはじめ自然との付き合い方を真剣に考え直すことも必要となる。英国内外で注目されている「ハーモニー教育」には、各学校で実践可能な多くのヒントが詰まっている。巻末には、「ハーモニー教育」を考えるためのワークシート集が掲載されているので参考にしたい。