千葉県で下校中の小学生5人が死傷する痛ましい交通事故があった。下校途中の小学生の列にトラックが突っ込んだのである。子供たちが通う小学校のPTAからは現場の通学路にガードレールや歩道の設置を求める要望書が出されていたが、市は財政的な問題から他の交差点整備を優先させたという。2012年に京都府で登校中の小学生と引率の保護者の列に軽自動車が突っ込み、10人がはねられ3人が死亡、7人が重軽傷という事故があった。その後も各地で登下校中の子供らが死傷する事故が連続したのを受け、13年に文科省・国交省・警察庁から通学路の交通安全確保の取り組みの通知が出された。これに基づき各学校、PTA、警察、道路管理者らで通学路の安全確保のための基本的方針(通学路交通安全プログラム)を作成し、継続的に点検してきている。19年に文科省から出された通学路の交通安全の確保の徹底についての通知によると、対策が必要な箇所の99%が対策済みになっているという。今回の事故は残りの1%だったのか。行政的には99%が対策済みでも、被害を受けた子供にとっては0%である。市では当面、登下校用のスクールバスを運行するとしている。全く対応がないよりはよいが、事故が起きなければ何もなされないという姿勢は問題だ。すぐにガードレールや歩道の設置ができなくても、登下校時間帯の交通規制をするなど対策をとることが求められる。子供たちが楽しく学校に行き、楽しく家に帰ってくるようにしなければならない。失われた生命は戻ってこない。