(鉄筆)「油断」とは……

(鉄筆)「油断」とは……
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 「油断」とは辞書によれば「気をゆるして、注意をおこたること」とある。安倍元首相が銃によって襲撃された事件は要人警護の在り方に油断があったと指摘されている。国内では30年間、政府要人が狙われる事件はなかった。その慣れが緩みにつながったのではないか。

 要人警護の役割は容疑者の逮捕ではなく要人の安全確保。次の攻撃に備え要人に覆いかぶさったり伏せさせたりなどして命を守る。銃社会の米国と違い、わが国のこれまでの警護は刃物対策が中心であった。今回の事件で銃が簡単に作れることが広まった。インターネットで銃や火薬の作り方を調べ、容易に手に入る材料を使って自分の家で銃を作ることができる。怖い話だ。

 学校においては子供の命を守ることが第一。万が一の危機に際して学校・教師は子供を守るためにどう対応すればよいか。かつての池田小事件では犯人は刃物で子供たちに襲い掛かった。その後、門扉の施錠、学校への入校の手続き、門番の設置、監視カメラ、さすまたなど防御道具などが導入された。侵入者から子供を守る教職員の体験研修も実施されてきた。それでもお茶の水女子大学附属小学校の事件などが起きている。

 今後は手製の銃や爆弾による学校・児童生徒への襲撃の可能性も視野に入れるべきだ。教育委員会は必要な手だてや取り組みを早急に講じる必要がある。

 9月1日は防災の日。自然災害とともに改めて刃物や銃などによる被害を防ぐ手だてを確認し、危機意識を高め、保護者が安心して子供たちを学校に通わせられるよう取り組んでもらいたい。

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