文科省が作成している「生徒指導提要」が改訂される。生徒指導提要は、生徒指導に関する学校や教員向けの基本書で、生徒指導の理論や具体的な指導方法、推進するための学校組織・体制の在り方などが掲載されている(2010年発行)。
提要が刊行される以前は「生徒指導の手びき」(1965年発行)と「生徒指導の手引(改訂版)」(81年発行)があった。いずれも少年非行のピーク時に発行されている。提要の改訂は12年ぶりだが、この間子供たちを取り巻く環境は激変し、SNSによるいじめや発達障害、性的マイノリティーなど少年非行にも新たな課題が発生している。それとともに生徒指導に対する考え方も多様化している。そうした時期に提要が改訂されることの意義は大きい。
今回の改訂のポイントは、(1)ブラック校則の見直し(2)SNS上のいじめの対応(3)性の多様性への配慮――などが挙げられるが、いずれの課題に対しても学校組織としての対応の仕方を「発達支持」「課題未然防止」「課題早期発見対応」「困難課題対応」の4層に分け詳細に記述している。
今回素案の形で公表されたが、この後検討を加え、秋には刊行、デジタル版も作成されるそうだ。その際、各課題に対する地域や学校の成功事例のほか、教育相談的な指導法もリンクできるようにすれば教育委員会主催の教員研修や学校における校内研修で活用しやすくなるのではないだろうか。
文科省は各地区の教育委員会や校長などが提要を積極的に活用し、より多くの教員に周知されることを第一に考えていくべきだ。