(鉄筆)デジタル教科書は……

(鉄筆)デジタル教科書は……
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 デジタル教科書は2024年度から小中学校の英語で紙の教科書との併用で導入される。25年度以降、算数・数学にも広げるとされ、今回全面的な実施は見送られた。

 経済界・産業界からの要望、デジタル庁の「教育データ利活用ロードマップ」の公表など、いけいけ、どんどんの状況に学校現場からは危惧する声が聞こえてくる。学習効果への疑問や健康面への不安が拭い切れないからであろう。どんなデメリットがあり、その心配をどのように払拭するのか。責任ある説明と実行が必要である。

 問題点はすでに文科省が21年度に全国4割の小中学校で行った実証事業の結果で報告している。デジタル教科書や学習端末を使った授業の後、目や首、肩に疲れや痛みを感じたのは、小学校中高学年で3~4割、目の疲れは4割半ばに上っている。全国学力調査では、デジタル教科書は紙と同等以上の教育効果があると分析されたが、統計的な裏付けが十分ではないため、今年度の実証事業から来年度に報告を出す予定という。

 米国の精神科医V・ダンクリー氏はデジタル化の影響を「デジタルスクリーン症候群」とし警鐘を鳴らしている。パソコンやスマホを見る時間(スクリーンタイム)が長過ぎると心身にさまざまな変調が現れる。解決方法は画面から離れること。米国では教科書のデジタル化はうまくいかず紙の教科書に戻した学校もあるという。

 政府は学校現場の声をよく聞き、正しいデータや情報をもとに説明責任を果たし、子供たちにとって一番よい取り組みを選択してほしい。

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